勃起不全の治し方

肉体的な問題や精神的な問題など、様々な要素が複雑に関係して引き起こされる勃起不全の原因と、その改善方法について

心身の問題から発生する勃起不全

勃起不全とは、全く勃起が起こらないといった状態の他にも、勃起するのにかなり時間がかかる、勃起しても十分な硬さが得られない、勃起を維持する事ができずに萎えてしまうなど、満足なセックスを行う上での支障となる状態を言います。

 

そのため、人によってその状態や程度には、様々な違いがあります。

 

男性は、加齢とともに男性ホルモンの分泌量が減少したり、精子を作る働きが低下していきますので、ゆるやかに性欲が衰えていき、勃起しにくくなっていきます。

 

そして、高血圧や高脂血症高尿酸血症などから動脈硬化が起こりやすくなったり、血管や神経の老化や疲労によって損傷が起こると、勃起に必要な筋肉の緊張、血液の流れ、神経の伝達などが正常に行えなくなっていきます。

 

また、肥満や運動不足、ストレスも、このような勃起に必要な体の機能に問題を引き起こす悪化因子となる事が知られています。

 

そのため、性欲はあるものの、勃起しない、または勃起しにくくなる場合もあります。

 

年齢は若く健康的であっても、寝不足や飲酒、風邪などの体調不良によって肉体的な疲労が溜まっていたり、仕事のスケジュールや家庭の用事が忙しく、精神的なストレスが溜まっている場合には、このような勃起不全の兆候が見られるようになる場合があります。

 

陰茎に十分な硬さや張りが無いなど、勃起が完全に起こっていない場合であっても、射精を行う事はできるため、それがセックスレスを誘発して、次第に夫婦の信頼関係も悪くしてしまう場合があります。

 

男性は、セックスの途中で陰茎が萎えて中断してしまう事になったり、妻からのセックスの誘いを断る事を繰り返しているうちに、男としてのプライドが傷付いてしまい、自信が無くなってしまったり、落ち込んでしまうなど、精神的に不安定になってしまう場合があります。

 

そのような精神的な影響からも、勃起不全を悪化させてしまう場合があります。

 

このように、勃起不全には肉体的な問題によって起こる場合や、精神的な問題によって起こる場合、またはその双方が関与して起こる場合があります。

勃起不全を引き起こす病気

肉体的な問題によって起こる勃起不全の原因には、糖尿病、前立腺肥大症、前立腺炎など、様々な誘発因子があります。

 

糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなった際に、血糖値を下げる働きのあるインシュリンが分泌されない、または分泌量が極端に少ないために、血糖値が高い状態のまま、それをコントロールする事ができなくなっている状態です。

 

糖尿病になると、高血糖の状態が長く続くために、細い血管への血流が悪くなるため、周囲の神経細胞が必要とする酸素や栄養分が供給されにくくなっていきます。


そのため、次第に血管や神経が損傷したり、損傷したまま修復されなくなっていきます。

 

そのような事から、糖尿病になると、高い割合で勃起不全を引き起こすようになると言われています。

 

前立腺肥大症は、前立腺の組織が肥大化して、尿道を圧迫するようになるために、頻尿、尿漏れなどの排尿障害が起こるようになる病気です。

 

勃起不全との直接的な関係は無いと言われていますが、排尿痛や射精痛が発生する場合があり、その痛みから性に対する興味関心が希薄になり、勃起不全を引き起こす場合があります。

 

また、前立腺肥大症の治療によって、陰茎の周囲の血管や神経が傷付いてしまう事で、勃起不全に至る場合もあります。

 

前立腺炎は、前立腺に細菌が感染していたり、下腹部の圧迫や骨盤周囲のうっ血などから、前立腺の組織に腫れや充血などの炎症が生じている状態です。

 

前立腺炎になると、下腹部から強い痛みが生じるようになり、勃起した時や射精した時に痛みが起こる場合があり、その痛みへの不安から、射精する頻度が徐々に少なくなるなどして、男性機能が低下するようになる事があります。

 

また、前立腺炎になると、精液の大半を占めている前立腺炎を分泌する働きが低下する事があり、それによって性欲が衰えたり、勃起不全を招く場合があります。

 

他にも、高血圧、高脂血症動脈硬化不整脈心不全狭心症といった心臓や血管に関わる疾病によって、勃起不全が引き起こされる場合もあります。

生活習慣が引き起こす勃起不全

勃起不全は、軽度の場合から重度の場合など、程度には個人差が大きいものですが、毎日の生活習慣の影響から、勃起不全が誘発されたり、症状がひどくなる場合があります。

 

その原因の一つにお酒があります。

 

お酒を飲んだ時に限り、勃起が起こりにくくなったり、途中で萎えてしまうのは、決して珍しい事ではありません。

 

お酒を飲むと、全身の血行が促進され、血液の巡りが良くなるように思えますが、あまり過度に飲みすぎると、神経が鈍くなるために、中枢神経の勃起中枢や射精中枢などの働きが弱まり、勃起するまでに時間がかかったり、十分には硬くならないといった状態になる事があります。

 

また、射精欲が沸き起こらなくなったり、性的な刺激に対しても鈍感になる事があり、射精するまでに時間がかかるようになったり、射精できなくなる場合もあります。

 

飲酒によって心拍数が高くなり、呼吸が早くなると、心肺機能には大きくな負担が掛かるため、セックスにおける体力の消耗も激しくなります。

 

そのため、射精するまでの間に、脈拍が急激に高くなりすぎる事で、セックスの途中で疲れきってしまい、セックスを継続できなくなったり、陰茎が途中で萎えてしまう事もあります。

 

お酒は体内で分解される過程で、アセトアルデヒドという毒性の強い物質に変化しますが、男性は、アルコールの分解酵素が肝臓の他に精巣にも存在しているため、普段から飲酒量が多い人は、精巣にもアセトアルデヒドが蓄積してしまい、精子を作ったり、男性ホルモンを分泌する働きが低下する事があります。

 

このような慢性的な大量飲酒によって、精巣の機能低下や萎縮が起こる事は、アルコール性精巣障害と呼ばれています。

 

お酒の他にも、喫煙が勃起不全の原因になる事があります。

 

陰茎海綿体は、毛細血管が集まったスポンジのような組織ですが、タバコに含まれるニコチンは、その毛細血管を収縮してしまう働きがあるため、陰茎海綿体への血流を阻害したり、陰茎の根元を締め付けて勃起を維持する働きのある骨盤底筋の働きを鈍らせるために、勃起にしくくなったり、十分に硬くならない、またはすぐに萎えてしまうといった状態が起こりやすくなると言われています。

 

また、喫煙は動脈硬化を引き起こす原因になる事が知られており、陰茎の周囲の血管や神経を傷付けてしまう事があり、勃起不全の原因になる場合があります。

 

糖尿病や高血圧、高脂血症は、勃起不全の三大原因と言われていますが、過度な運動不足や食べ過ぎによる肥満も、勃起不全の原因になる事が知られています。

精神的なストレスによる勃起不全

肉体的な問題によって起こっている勃起不全が、精神的な問題によってますます拍車がかかり、状態が悪くなっている事があります。

 

現代人は、何かと忙しく、様々なストレスを蓄積する機会が非常に多いと言われています。

 

職場の人間関係、仕事のトラブル、家庭内の出来事、経済的な問題、健康状態への不安、将来に対する悩みなど、様々な諸事情があり、それがいくつも重なり合ってしまう事で、精神的には大きな負担になっている事があります。

 

そのため、眠れない日が多くなったり、気分が落ち込む日が多くなるなど、自分でも気が付かないうちに、抑うつ状態に陥っている場合があります。

 

それでも、会社を自由に休んだり、一人でゆっくりする時間を作る事が難しいために、我慢を続けている事で、少しずつ精神的な負担が大きくなり、肉体的な面でも影響が出てくる場合があります。

 

男性にとって勃起する事は、男としてのプライドの側面もあり、勃起しない、十分に硬くならない、萎えてしまうといった事が時折起こると、精神的に大きく落ち込んでしまったり、自信を無くしてしまう事があり、それが勃起不全の症状をますます悪くしてしまう事があります。

 

性欲や射精欲求はあっても、勃起が十分に起こらないために射精をしないままでいる事は、非常に大きなストレスとなります。

 

そして、ますます不安や焦りが大きくなり、勃起の事を常に考え続けてしまうなど、悪循環になってしまう事があります。

 

このようにして精神的な問題が時間をかけて大きくなり、勃起不全を誘発したり、勃起不全の状態をますます悪化させているケースは、心因性勃起不全(心因性ED)と呼ばれています。

 

このような精神状態の時は、パートナーから言われた言葉や態度に対して過敏になってしまう事が多く、トラウマを抱えてしまう事になったり、強い緊張感や不安感が芽生えてしまう事になり、勃起不全の状態をますますひどくしてしまっている場合もあります。

 

時間とともに精神的な落ち着きを取り戻して、勃起不全が改善される事はありますが、
自慰によって射精する事ができるようになった後も、そのパートナーに対して、性的に強い嫌悪感や不快感を感じるようになっている場合には、セックスにおいては勃起不全や射精障害が継続的に改善されない事があったり、改善に時間がかかる場合があります。

勃起不全の改善方法

勃起不全は、加齢とともにどうしても起こりやすくなるものですが、1日中パソコン仕事をしていたり、運動を全くしないなど、筋肉の衰えや代謝の低下によっては加速度的に起こりやすくなり、勃起不全の原因となる生活習慣病も引き起こしやすくなります。

 

そのため、急に激しい運動を行う必要はありませんが、軽い負荷でも継続的に続けて行う事が重要です。

 

男性ホルモンの分泌量を増やすには、筋肉量を増やす事が重要と言われていますが、人の筋肉の約7割は下半身に集中していますので、スクワットやウォーキングなど、下半身の筋肉を集中的に鍛える事で、効率良く男性ホルモンの分泌量を高める効果が期待できます。

 

そして、炭水化物は控えめにして、筋肉の元となるタンパク質や、ビタミンやミネラルが豊富な生野菜をしっかり摂取する事が大切です。

 

亜鉛を多く含む牡蠣やアーモンド、タウリンを多く含むイカやタコ、アルギニンを多く含む大豆や胡麻、ムチンを多く含む納豆や山芋などの食品は、男性の性機能を高める作用があると言われていますので、積極的に摂る事で、勃起不全が改善される場合があります。

 

また、糖分の多いアイス、ケーキ、ジュースなどを控えたり、添加物の多いインスタント食品やレトルト食品を控える事も大切です。

 

そして、飲酒や喫煙などの勃起不全の原因になる習慣を排除する事も重要です。

 

男性の精巣は熱に弱い性質があり、温度が1℃上昇しただけでも、機能が著しく低下すると言われています。

 

そのため、股間に熱がこもらないように、通気性の良い下着を普段から身に着けるようにする事も有効です。

 

また、精巣の温度が高くなる入浴後には、陰嚢をシャワーでしばらく冷やしたり、お風呂上りには、陰部を風通しの良い状態にする事は、昔から金冷法と呼ばれ、精力増強に効果があると言われていた事です。

 

時には、精神的なストレスが、肉体的な問題を悪化させていたり、勃起不全を誘発している場合もありますので、毎日少しの時間でも、のんびりくつろぎながら、音楽を聴く時間を取ったり、本を読むようにしたり、ゲームや映画などの趣味の時間を作り、気分転換を行うようにする事も大切です。

 

また、早寝早起きの習慣を作り、朝の体操や散歩で気分をリフレッシュしたり、山での森林浴や神社仏閣巡りで心を落ち着かせる事も、心身のストレスがともに発散できるため、健康面が飛躍的に改善される場合があります。